11/23(土)ただいま東京、帰ってまいりました。
今日の午後2時ごろ成田空港に着いて第一に感じたのは、大分も千葉も体感温度は変わらないな、ということだった。あまりに眠かったからか、空港から家までの道程はきちんと覚えていない。けれども、少なくとも同じ事は東京にも言えて、私は帰宅するまで一度も上着を着も脱ぎもしなかった
ただ、そんな存外いい加減な体たらくの自然とは反対に、意外にも街並みというか、人の雰囲気というか、そういうものは「均質化された」と叫ばれる中でも地域差があるようで、昨日まで過ごした景色と目の前にした景色の間に感じる違和感に、寂しさと安心感のない交ぜになった不思議な感覚を覚える
その感覚は形を変えて、今日の夕飯の母親のカレーの味の辛さになったりする。昨日レストランで食べたカレーより、今日自分の家で食べたカレーはなんだか辛い。でも昨日は、レストランのカレーがなんだか甘ったるいなあと思っていたり。まあそんな事良いんだ
ただいま東京、帰ってまいりました。
閑話休題
日記に書いたとおり、昨日はネットカフェで朝まで漫画に噛り付いていた。とりあえず、まだ体力と余裕が回復していないので、昨日読んだ作品の感想で今日もお茶を濁す事を許して欲しい
まず、『ハイスコアガール』4巻を読了。
ハイスコアガール(4) (ビッグガンガンコミックススーパー)
- 作者: 押切蓮介
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2013/06/25
- メディア: コミック
- この商品を含むブログ (47件) を見る
本作『ハイスコアガール』は、ゲームセンターで出会いゲームで語り合う、主人公のゲーム馬鹿矢口春雄とヒロインの天才ゲーマーで超お嬢様大野晶の青春を、ゲームの歴史とともに描いた物語。1991年、小学6年生から始まる彼らの話は、4巻時点で1995年の高校生編まで進んでいる
晶と同じ上蘭高校に合格する事が叶わず、晶に引け目を感じ、ゲームセンターからも足が遠のいていた春雄。だが、中学の同級生小春に負かされた春雄は、「格下だと想っていた同級生にゲームで大敗を喫した」という情けない事実の前に再起を誓う。
晶も、同じく春雄を想う小春に春雄への気持ちを問われ動揺する一方で、その気持ちを抑え付けるように家庭の締め付けが厳しくなり、居たたまれず家出をする。すったもんだの末2人は一晩をともに過ごし、春雄は晶を支えられる人間になりたいと決意を新たにする。
他方小春は、春雄の眼中に入るためにゲームの実力を上げ見事春雄に勝利するも、晶との対峙や春雄との会話で春雄と晶の間に自分の割り込む余地が無い事を痛感。追い詰められた小春は春雄に告白し、対戦で自らが敗北したら身を引くが、勝利したら自分と付き合うように要求する。4巻のあらすじはこんなところだ
感想としては、やはり青春ものは登場人物の成長を見るのが楽しいなあ、というもの。
家出した晶を探し出し、ライバルとして対抗心を燃やしたり漠然と一緒にいたいと思ったりするだけではなく、晶の力になりたいと思えるようになった春雄。自分の一番輝ける場所であるゲームの世界に篭って現実逃避してきた春雄も、遂に主人公らしく、ゲーム以外の世界で、他人のために自らを変えたいという気持ちを見つけられたようだ。
まあ、上蘭高校受験のために頑張った時も兆しはあったけど、その時の「一緒にいたい」という気持ちよりも今回の「支えたい」という気持ちの方がより動機付けが利他的な事が重要なのだ。
また、小春の頑張りも見ていて健気で可愛い。春雄に自分を見てもらうためにゲームを必死にやりこんだり、晶に直接話しかけたり、まあ追い詰められたとはいえ遂には告白したり、いつの間にこんな強い娘になったのか、と驚くばかりである。小春には幸せになって欲しいなあ、でも晶にも幸せになって欲しいんだよなあ。
晶に関しては、相変わらず感情が読みにくい登場人物なのだけれど、4巻では涙を流したり、寝ている春雄を見つめたり、少し春雄への好意が分かりやすくなった。また、分かりにくいがプリクラに春雄を誘ったり、恋愛という観点から見て前に踏み出す勇気を手に入れたような気がする。彼女もこれからどうなるのか楽しみ
確かに私も悲恋ものや救われない話は割と好きだけれど、傷や血の描写が多いものや度を過ぎたものはあまり得意ではない。いや、まあ『ハイスコアガール』の作風からいって前者はありえないにしても、全く救いの無い落ちは十分ありえそうだから怖いのである。
押切氏は、折角ユニークで味のある絵を描くのだから、もっと明るい方向の作品も描いて欲しいなあ……おっと、話がずれた、感想に戻ろう
次に読んだのは、小川麻衣子氏の『ひとりぼっちの地球侵略』1〜4巻。
ひとりぼっちの地球侵略 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
- 作者: 小川麻衣子
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/07/12
- メディア: コミック
- 購入: 3人 クリック: 134回
- この商品を含むブログ (29件) を見る
本作『ひとりぼっちの地球侵略』は、地球を侵略しに来たヒロイン大鳥希先輩と、10年前先輩から、記憶は無いけれどその心臓を受け取った主人公広瀬岬一による、ボーイミーツガールと地球侵略(異星人からの地球防衛)の物語。感想としては、絵は可愛くて綺麗なのだけれど、もの足りない漫画だった。理由を端的に言えば、情報が詰め込まれ過ぎてゴミゴミしているから、作者の見せたいものがイマイチ分かりにくくて楽しめなかった、のかな
まず、ストーリーに重要な情報とそうでない情報をきちんと濃度の差をつけて描き分けられていない。そのため物語に骨が通らず、「ラブストーリー」も「侵略」もどちらも中途半端になっている。
コマ割りも四角か斜め切りしかない平凡なものだし、絵も、静止画としては上手いのだけれど、1枚の絵で複数の感情や状況を描けていない。だから、スピード感や躍動感が失われてしまって、起伏が無いつまらない物語に見えてしまう。
あと、キャラクターがモブキャラも含めて場当たり的に動き過ぎなのも良くない。登場人物一人一人を細かく描こうという気持ちの表れなのかもしれないし、今後の展開のための大切な伏線なのかもしれないが、登場人物の出番に優先度の振り分けが無いのはあまりに煩雑過ぎだ。少なくとも私は、誰彼構わず登場人物が口をきくお陰で話の流れの大筋について行きにくかった
3巻で新キャラを色々投入した事に関しても、穿った見方過ぎるかもしれないけれど、マンネリを解消するために無理をしたのかなと感じた。
確かに異星人間の階層関係や地球側の異星人は物語の構成上存在してしかるべきだし、今後の展開のために必要だと思うから、その関連の登場人物を投入する事自体は問題ではない。だが例え新しい登場人物が必要だとしてもこんなに一度に登場させる必要は無いだろう。そもそも、多くのキャラを出すと上述の振り分けの問題で逆効果になるだろうから、既存のモブキャラを掘り下げて使うなどしてなるべく登場人物を絞る方向にすべきだったのではないだろうか。
ただ、これだけ酷評しておきながら何だが4巻に関しては高評価。『星の王子様』の狐の話を私が好きだから贔屓目が入ってるかもしれないけれど、やっと10年前の事件の記憶が掘り返される事で主人公と希の出会いが描かれて話が大きく展開し始めた感じがする。ここから、侵略も恋愛も一気に動きと盛り上がりを取り戻す展開を期待したい
兎に角、本当に上から目線で申し訳ないとは思うけれど、綺麗な良い絵を描く方なので、もう少し頑張って欲しいところ。私も、もう一回4巻まで買い直して応援しよう
最後に読んだのは、久保ミツロウ氏の『アゲイン‼︎』1〜10巻。流石というか、貫禄を感じる出来で、夢中になって読んだ
- 作者: 久保ミツロウ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/09/16
- メディア: コミック
- 購入: 5人 クリック: 126回
- この商品を含むブログ (63件) を見る
本作『アゲイン』は、ひょんな理由から高校の卒業式当日に3年前の並行世界に「アゲイン」した帰宅部で超ネガティブ、友達皆無の主人公今村金一郎が、その世界で応援部を建て直し、高校生活を一からやり直す物語。
面白い話は、魅力的な登場人物とストーリーが無いと成立しないけれど、久保氏は確実に両方を生み出す才能を備えている。特に前者に関しては、『モテキ』の頃から変わらず、一癖も二癖もあって本当に面倒くさいんだけれどでもどこか放っておけない、そんな人物を描き出すのがとても上手い。
ちなみに私の個人的な推しキャラは、断然宇佐美団長と菅楽喜先輩。
まず宇佐美団長は、気合ばかり空回りしていて、でも痛々しい位に現実に立ち向かって行く勇気を備えている、という設定が心から可愛く思えるから。あと、しっかりした眉と目を備えた凛々しい顔が個人的に好きなのもある。
菅楽喜先輩に関しては、その「スガラッキー」という名前と、バルディオスとかゲッターロボとか昔の合体ロボットアニメの登場人物のような顔立ち、熱血キャラクターがド直球にツボに入ったから。私なら、こんな先輩がいたら、うざったいなーと思いつつもついついて行ってしまう。作中で、コスプレとかをさせてみてくれないかなあ、とても似合いそうなんだけれど
さて、10巻最後の時点では応援部の再建、演劇部の応援が終わり、主人公達は応援部の代替わり準備を行う事になる。人と関わることを覚え、精神的にも成長した金一郎は次期応援団長になろうと自らの意思で立候補するのだが、一方で主人公達の介入によってアゲイン世界には過去には無かった様々なひずみが生まれていて。これからアゲイン世界の謎を解きながら、どのようにして応援部を引継ぎ、主役級の登場人物を安定させて物語を終わりに導いていくのかがとても楽しみだ
追伸
体力の限界で読みきれなかったが、阿部潤氏の『パパがも一度恋をした』も気になっている
奇声を発して父を甘やかす祖父と、妻が亡くなった悲しみに3年間家に引きこもるニートの父、そして女子中学生の娘。ある日、彼らの元に亡くなった義娘(、妻、母)が天国から帰ってきた……なぞのおじさんの身体に憑依して
シュール漫画が好きな私でも、こんなストーリーあってたまるかという反発と、おじさんの見た目のあまりの気持ち悪さ、何より眠気もあり、昨日はきちんと読む事をしなかった。しかし、今家でよくよく思い返してみると、シュールさと家族愛というテーマを両立していたという意味でなかなかあの漫画は良作だったと思う。今度ネットカフェに行く事があったらきちんと読みたい