12/9(月)優しくて、冷たいな(2)
私の都合で勝手に感想を切ってしまい申し訳ない。
しかも、1時間以内という約束も破って……本当に申し訳ない
以下、引き続いて第10話の振り返りを行ないたい
10話「雪が解け、そして雪が降るまで(前編)」振り返り
②Aパート(続き)
・ホーム
無言で下車する冬馬に追いすがる春樹。
その春樹を振り返らずに冬馬は問う
冬「で、母さんは。他には何か言ってたか」
春「え、他ってどんな」
冬「そっか。それくらい自分で言えってか。優しくて、冷たいな」
春樹を成田まで送り込む手伝いをした躍子の意図としては、春樹への想いは自らで決着をつけろ、という事だろう。
かずさ(便宜上この一行だけ)が春樹を避けている事とその理由である春樹への想いを知りながら、かずさの居場所を正確に春樹に伝えるとは、実に躍子らしい教育の仕方である。「あの子のためにももう娘とは会わないであげて」とかいうタマではないし、むしろ逃げずに戦う舞台を用意する点は私としても好意が持てる
ちなみに、冬馬の「他に何か」が気持ちそのものを代わりに伝えてくれる事を想定していたのなら、そら甘えすぎだろうと言わざるを得ない。そこまで親に期待するのは如何なものか。まあ、母親に十分甘えられなかった冬馬からすると、そうも言いたくなるのか
・街中
ホームを降りて、ひたすら後ろも見ずに歩く冬馬と、後を追う春樹。
雪菜に今すぐヨーロッパ行きを伝えろと迫る春樹と、時間を置いて話すと言う冬馬の堂々巡りになる。
「だったら、まずは雪菜に伝えろよ。メールで良いから」と言う春樹に「それは北原から伝えといてくれよ」と返す冬馬。ついに春樹が激昂する
春「ふざけるな!」
冬「ふざけてない。ただ、その方がいいって思っただけだよ」(少し顔が見える)
春「誰だよお前……本当に、あの格好良かった冬馬かずさなのかよ!?」
冬馬今度こそ振り返る
(中略)
冬:「どういうつもりだよ?」
春:「それは、こっちのセリフだ……」
冬:「……北原?」
春:「どうして俺の前からいなくなろうとするんだよ? どうして相談してくれなかったんだよ?」
冬馬の肩を掴む
「俺ってその程度なのかよ? お前にとってそんなもんだったのかよ?」
いや、これは春樹が気持ち悪いなあ……よくも悪くも直球過ぎるというか……。
「俺ってその程度なのかよ? お前にとってそんなもんだったのかよ?」
友達にかける言葉では明らかにない。
春樹にとって、冬馬は好きな相手である以上に憧れの対象だった。その冬馬の逃げようとする姿、自分に対して徹底的に心を開こうとしなくなった姿に衝撃を受けるのは理解出来るんだが、いかんせんその後の行動が身勝手過ぎる。
だって、春樹はあくまで冬馬の「友達」だから。ここまで冬馬の人生に深く関わる権利は、元々春樹にはない。家族でも何でも無い人間に同様の言葉を投げかけられた日には、私なら相手と縁を切ってしまうし、こと冬馬の場合「(本当は元から臆病だけれど)春樹を好きなせいでこんなに臆病になってしまったに」というのがあるから、この言葉を投げられた時の傷つき方も尋常じゃないだろう
冬馬、笑みの形に唇を歪める
冬:「お前はその程度だよ」
春:「つっ!」
春樹、泣き顔をあげる
冬:「その程度だから何にも言えない」
肩に乗せられた手を優しくはずす
冬:「海外に行く事も、私がどんな気持ちでいるのかも」
冬馬半身を背ける
春:「友達じゃなかったのかよ、俺達」
冬馬背を向ける
冬:「言いたい事も言えないやつのどこが友達だ? 」
春:「笑うなよ」
冬:「馬鹿馬鹿しい。何が、俺の前からいなくなろうとするな、だ」
春:「だから、笑うな!」
冬:「よくもまあ、そんな痛いセリフが言えるな。何様のつもりだ? 」
耐えかねた春樹、冬馬の肩を掴む
春:「やめろよ!」
露になる冬馬の泣き顔
春:「はっ」
実際その後の展開は上のような感じで、結局冬馬は涙を零してしまう。誰がどう見ても冬馬を追い込んだ責任は春樹にあって、同情の余地は無い。というか春樹が先に泣いてしまう時点で、もう私としては何だこの女々しい人という気持ちはマックスだよ……
冬馬の「何様のつもりだ?」という言葉は一字一句正論で、前述の通り春樹が冬馬に言っている事はどう見ても身勝手だ。
だからこそ、自分の気持ちにも気づかない、好きだけれども憎い相手に冬馬は精一杯のきつい言葉を浴びせる。自分自身の心を傷つけながら、それでも春樹と雪菜のために精一杯頑張って刻んだ心の傷を春樹に突き返すように
そんな冬馬の涙に動揺する春樹。
冬馬は、思い切り春樹の腕を振り払う
冬:「そんなのなあ」
冬馬の泣き顔がアップに
冬:「親友の彼氏に言われる台詞じゃないんだよ!」
春:「はっ」
冬:「私の前から先に消えたのはお前だろ? 勝手に手の届かないところに行ったのはお前だろう?! 手が届かないくせに、ずっと近くにいろなんて、そんな拷問思いついたのもお前だろう?」
冬馬、顔を手で覆う
冬:「なのに、何であたしが責められなきゃならないんだ? 毎日毎日、目の前で心えぐられて、それが全部あたしのせいなのかよ? 酷いよ…… 」
春樹、驚きに口をぱくつかせる
春:「だってお前、俺のことなんかなんとも! 俺だけが、勝手に空回りして…諦めきれなくて……情けなくって」
冬:「何でそんな風に思い込むんだよ? どうして私の気持ち、分かってくれなかったんだよ? 」
春:「俺なんかに分かるわけないだろ! 言ってくれなきゃ、分かるわけないだろ! 」
冬:「つっ。何でそんなに馬鹿なんだよ? 勉強しか取り得が無いのかよお前は?! 」
春:「そうだよっ! 俺は馬鹿なんだよ! 冬馬みたいな奴が振り向くはずがない、つまんない男なんだよ! 」
冬:「馬鹿の癖に、私の想いを勝手に否定するな! 」
冬馬、春樹に一歩近づく
冬:「あたしがつまらない男を、好きになって何が悪い!」
春樹の情けない言葉の数々は置いておくとして、ついに春樹へ本当の気持ちを伝える冬馬。
「あたしがつまらない男を、好きになって何が悪い!」
告白の台詞まで冬馬らしい格好良さで、なんだか涙がこぼれそうになる
「(春樹視点では)彼女の誕生日を一緒に祝おうと約束しているその日に、心の本命の相手と相思相愛が発覚してしまった」という、状況としては最悪きわまるものなのだ。
しかし、やっと本音で春樹と冬馬がぶつかり合い、冬馬が伝えたかった気持ちを伝えられた事は、冬馬ファンの私としては非常に嬉しい限りだ
そして、街に雪が降る。春樹と冬馬の上にも
自宅の窓から、1人雪を眺める雪菜の心中や如何に。聡い雪菜が状況に気がついていないはずがないので、恐らく尋常じゃなく辛い気持ちを抱えているのだと思うけれど、女々しく泣き出す事がないのは雪菜の強さであり、魅力である。
冬馬と雪菜が同時に報われる事は決してあり得ないし、私は冬馬派ではあるが、雪菜にも救いの道があって欲しいなあ
この雪のシーンの後、黒字の背景に白字で「雪が解け、そして雪が降るまで」と題が浮かび上がる。
そう、ここまでは前座で、遂に冬馬と春樹の過去の出会いをBパートから描き出すのだ。この話は、ゲーム版においてはクリア後に読むことの出来るボイス無しのデジタルノベル部分にあたり、他の部分と違って背景や登場人物の行動が分かっていない。アニメ化スタッフの方々の実力が問われる所で、私も非常に楽しみにしていた
だが、大変申し訳ないけれど、本日はBパートの振り返りは行なわない。Aパートまででかなりの分量になってしまったというのもあるし、次回の11話と合わせてこの話は書きたいのだ
という訳で申し訳ないけれど、まとめに移らせていただく
本日のまとめ
・印象に残った点
①作画崩れ
全体的に作画が崩れていて、かつかなり古臭い作りだった。東映版CLANNAD臭がプンプンする、睫毛が飛び出てて色がもっさりしているEDの作画に近いというか。同じように演出もやや古臭い。好みの古い私としては嫌いではないが、新しさを感じるものではない。最終話に向けててんやわんやしていて、余裕が無いのかな
②またもやopカット
今日もまた op削るスタッフや 何か恨みが あるのでねえかop削除を多用されると、どの回を印象付けたいのか分からなくなる。単純な尺の問題なのだろうか?
こう何度も削るなら、きちんと卒業ライブで「届かない恋」のライブ映像を作って、それ以降は偽りの友情だからop全カット、とかメリハリを付ければ演出として際立ったのに
③沈黙の雪菜
春樹の、電話口の辛そうな声を聞いて全てを察しただろうに、皆でパーティー会場で待っているスタンスを崩さない雪菜。愛故にといえば聞こえは良いが、如何せん裏の苦しみの色が濃いから嫌なものだ
④デジタルノベル「雪が解け、そして雪が降るまで」映像化
タイトル名の通り、ここでゲーム版のクリア後に解禁されるデジタルノベル「雪が解け、そして雪が降るまで」を挟んできた。まあ冬馬・春樹間での想いの打ち明けあいがあったのだから、その馴れ初めをここで持ち出すのは順当だと思う
・総括
第10話ということで物語も佳境に入り、全体的に話を畳み掛けていこうという動きが見えてきた。想いを確かめ合う冬馬と春樹。誕生日会だというのにほっぽり出され1人俯く雪菜、3人の運命や如何に。
とりあえず、もしも2期を作らないのならば出来る限り3人とも幸せになる方法で、オチをつけてくれるといいな