ポストイットとラインマーカー

わなび学生による漫画、アニメ、日常中心の覚書ブログ。短歌も1日1首載せています

2/1(土) せせらぎの光閉じ込む油膜さえ君が虹だと言えば虹だよ

  • せせらぎの
  • 光閉じ込む油膜さえ
  • 君が虹だと
  • 言えば虹だよ



パナウェーブ研究所という新興宗教団体が耳目を集めた時期がありました。
その人達は名前を忘れましたがとある女性を大天使ガブリエルと交信出来る預言者として崇め、スカラー波とかいう電磁波を恐れて白装束を纏い、関東の上の方をうろちょろしておりました。
その当時私は小学四年生でしたが、このヘンテコな団体のニュースを、旧ダイエーホークス優勝セールニュースとともに日記に書いた覚えがあります。

今なら兎も角、鼻垂れの子どもに、宗教やら哲学やらが感じられた訳もなく。
多分その人達の白装束と、中学受験のために詰め込んでいた「ガブリエル」の知識に反応し、興味を持ったのだと思われます。
あとは、その人達が真面目な顔で、ボロい車に乗って記者の質問に堂々とこたえていたのが面白かったのも理由かなあ。生身を晒して、明らかに私にとって変に見えることを言うのが当時は面白くて面白くて堪らなかった

その後暫くはネタにしていたものの1年も経つとパナウェーブの事は自ずと忘れ、教祖が亡くなった時と高校時代の登山時に団体関係の小屋を見つけた時に存在を思い出したくらいです。


ただ、今日サイゼリヤで、酔っ払ったのか気がちがってしまったのか、奇声をあげるおばさんが消防隊員に連れて行かれ、その姿を仕事帰りの草臥れたスーツのおじさんがそっと、本当にそっとスマフォで撮っているのを見て、私はあの人達の事を思い出しました。
そう言えばよくよく考えてみると、私はいつの間にやら歳を取り、そんな人達がいたことも、いることも忘れ、日常の中に偶に現れる旋風のような存在にしてしまっていたんだなあ。

恐らく、中学に上がる前に私の中でパナウェーブなぞという団体はとうに世の中から無くなっていたし、それで良いと思ってしまった。彼らは、ついこの前地元で声を掛けられたのに顔を無くしたままの田中大樹君(仮名)と同じく「他人フォルダ」に消え、思い出す必要の無いものになってしまった。

面白がるにしても、よくわからない「キチガイ(敢えて使います)」として、生身で受け止める事は出来なくて。
レンズ越しに「それも個性の1つだ」と目を逸らしつつ言いながら、FacebookTwitterで誰かに「私は客観的だし、あなたの視点から見てもこれはキチガイに見えるよね?」と同意を求めずにはいられなくなってしまったなあ、と。


まあ、これが世に言う大人になるということ。
身体の中の思い通りにならない「自分」を誰のものかよく分からず偶に暴走する「他人」によって御しながら、必死に均衡を保って「自分」と「他人」を守る。
誰かと一緒にいるためには避けて通れない道だと思うし、そう出来るようになった事自体に私は後悔がありません。

けれども、理解出来ないものを理解出来ないと認める、残酷ではあるけれども潔さを伴った「キチガイ」の受け入れ方を取り戻したい気持ちは捨てられない。
それが、道端の糞を1人で、無心に棒で突くような感性だったとして、今の私ともう一度一緒になれるのではないか。そういう期待を捨てられないから



なんだかいつも通りオチのつかない話になってしまいましたね……それでは今日はこの辺りで、ではではー