ポストイットとラインマーカー

わなび学生による漫画、アニメ、日常中心の覚書ブログ。短歌も1日1首載せています

1/8(水) 「傘に穴 空いてるからさ」 肩寄せ合う 光当たらぬ 三文小説

  •  「傘に穴
  • 空いてるからさ」
  • 肩寄せ合う
  • 光当たらぬ
  • 三文小説
 
 
本日、最寄り駅で某コンビニに寄ったところ、傘を盗まれかけました。
盗まれかけた傘は100円均一で105円、コンビニその他で525円出せば買えるビニール傘。別に大した価値は無い
……とはいえ、今日バイト先で貸して頂いたものなので私にとっては大切に扱わねばならない品です。
 
 
 
盗難を未然に防ぐ事が出来たのは本当に偶然。
出口近くのレジで会計を待っていた時、ふと横を見たら自動ドアの外でビニール傘を引き抜く影が見えたんです。その人は傘立てを見下ろして少し間を置き、一瞬店内を見てから傘を引き抜きました
私が入った時点でビニール傘は他に一本しか無かった筈で、これは怪しいと傘立てを見ると案の定私の傘が無い。急いで先ほどの人を追いかけます。
 
まずかけた言葉は「あの、すいません」。
振り向いた男性は、年の頃30代前半程度でしょうか。ひょろっとした痩せ型ですが、普通の会社員らしくスーツに身を包みなかなか身綺麗にしている方でした。一見、こんな安物の傘を盗むような人には思えません。
しらばっくれられたら困るし、正直何と言われるか怖かったのでとりあえず、「それ、私の傘だと思うんですけど」とドキドキしながら言い、出方を伺います。
 
相手が悪いだろうに、なんで私がドキドキしなきゃならないんだ、万に一つ位はこの人が盗んだんじゃない可能性もあるしね。
永遠に思える、実際は一秒弱の時間が過ぎて、その方が返してきた言葉がこれ。
 
「あ、そうなんですか……」
 
えっ、えっ? 言葉を返す間も無く、その方はビニール傘を私に渡し雨の中をスタスタと立ち去っていきました。ひょ、拍子抜けだあ……
 
 
 
 この方は単に思いつきで傘を盗んだだけだったんでしょう。
コンビニから出ると少し雨が強くなっている。傘が無く、お金を払ってわざわざ買うのも馬鹿らしいと思っていると目の前に傘立てがあり、他人の傘があった。
ビニール傘もあって、これなら足もつきにくいし、値段も安い、そこら辺にありふれているものだ。持っていってしまっても罪悪感が少なくて済む。
で、いざ持って外に出たら持ち主が追ってきた。知らんぷりしてバレたら面倒だし、後ろめたいから早く返して逃げよう。思考のルートはそんなところでしょうか?
 
ただ、現実逃避に慣れている私からすると、あまりにもドラマが無いなあと感じました。どうせならきちんと謝るか、逆ギレしたり、すっとぼけたりして何か面白い反応を返してくれれば良いのに。
私としては、他人の物を奪ってまで自分が助かりたいと思うなら、それなりに自分可愛さを突き詰めて、ヒールを演じて欲しいんです。
でなければ、その人の自己愛を押し付けられる側としては中途半端過ぎて許すことも憎むことも、悲劇の主人公を演じることも出来ませんからね。
 
私が言っていることがおかしいのは重々承知しています。
悪い事をする人間で、心の底から憎めるような悪人なんてまずいない。悪いことをする方の大抵は魔が差しただけで普段はきちんと生きている人間だろうし、そうでないと困りますから。
けれども、その手の悪人が行った悪事が一番、悪事の被害を受ける人間からすると大きいと私は思うんです。だって、憎もうと思った相手がそんなちっぽけな人間では、肩透かしを喰らってしまって自分の気持ちの持って行き場を失ってしまう。
 
まあ、かといって「悪人」が悪人と呼べる位、世の中が分かりやすくなってしまう方がもっと危険だとは思うんですが、そんな事を思った日でした。
ちなみに、別に傘を盗まれかけた事自体に関しては、借りたものを盗まれかけた焦り以外はそこまで強い感情を持っていません。ただの、未熟者の戯言として聞き流して下さい。
 
 
それでは、今日はこの辺で。ではではー